「都市型」という「勝ち組指向性」の言葉での保守の市場化

僕の日記の「新保守の都市型リベラルのとりこみ」で宮台についてはとりあげた。
http://d.hatena.ne.jp/junhigh/20050916
宮台の「民主党がとるべき道とは何か(インタビュー)」
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=283

宮台真司の今回の選挙に関するコメントが出る頃だろうと考えていると、僕の(はてな)アンテナにひっかていた。
選挙結果から未来を構想するための文章を書きました
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=302

■不安と不信が高まろうが国際競争に遅れじと“グローバル化&効率化”を目指す「都市型保守」。多少非効率でも内発性や信頼のベースたる自立的相互扶助を護持せんと“自治&補完”を目指す「都市型リベラル」。双方が都市浮動層を綱引きする「新二大政党制」

宮台の今回の選挙情勢の読みについて、僕は同調することが多い。僕の立場は、「都市型リベラル」に近いと感じている。「リベラル」という響きの良さを僕は感じるが、そのような意味でのこの立場に立つことは感心しない。「保守」ということが「カッコ悪い」時代が終わり、それは保守に装飾された「都市型」という「勝ち組指向性」の言葉で保守は市場化するのだろう。
雑誌宝島が株で大金持ちになろうという特集が、20代から30代を指向しながら展開する今は、僕が読んでいた植草甚一の頃のそれと比較しても意味がないかもしれないが、この雑誌がトレンドするものに敏感というのであれば、勝ち組指向がそれだけに強い時代ということだろう。

 恐怖

 フクロウ先生の盗撮を見て、以前に書いたもの
***
フクロウ先生の盗撮を見ているとシャイニングのビデオの写真があった。どうも、シャイニングの完全版が出たということらしいが、僕が見たのはどうだろうかと考えたら、不完全版だったのだろうか。地獄の黙示録も完全版が出たので同じようなものであろう。映画の世界ではよくあることで、映画界の商売としてはリメークして2度おいしいということかもしれない。最近では、エクソシストの例もあったように思う。

 この映画シャイニングでは冬の別荘地が舞台であった。このホテルは冬には全く外界から閉ざされている。ここに家族が管理人として済むのである。冬の巨大なホテルの中に家族だけが住み、やがて父親が取り憑かれたように変わっていく。

 恐怖映画の設定ではほとんどの場合、外界から閉ざされた空間がひとつの舞台となっている。ここでは外界から閉ざされているというのが大きなポイントのように思う。つまり閉鎖された空間の中で起こる恐怖である。ということはその世界では他の場所へ逃げることが、非常に困難な状態だということである。つまりその恐怖から逃げ出すことが困難である主人公は恐怖と対峙しなければならないのである。
 
 ところで人間の恐怖というものは、どのようなものであろうか。先程の映画の例のように、閉ざされた空間での恐怖というものがあると思う。ここでの恐怖は、逃げられないという恐怖である。つまり閉鎖された空間では循環する以外はないのである。そのような時に、恐怖と対決する方法は外界と連絡をとるか、外界へ逃げ出す道を見つけるか、または恐怖を抹殺するか、そのいずれかの方法をとるしかない。

 このパターンの恐怖映画はよくある。例えばキャンプ場のような野外空間では、途中に深い森を通ったり、またそこへいくためには細い壊れやすい橋を通るなどの状況を通して、ぼんやりとした閉鎖空間が作られている。その中で恐怖は増殖するのである。また、物体Xのように不毛の南極という絶対的な閉鎖空間も恐怖の場所として使われる。

 このようにしてつくられた閉鎖空間の中で、主人公は恐怖に追われるというのはよくあることだ。追われるときに主人公は袋小路に行き詰まったり、さらに閉鎖された小さな空間に逃げ込んで、恐怖がそれに迫ってくるというのがよくあるパターンである。


 さて、人間のこのような恐怖の意識というのは、どこから出てくるのであろうか。その根本を考えると、死への恐怖というものに行き着くように思う。つまり、死後の世界というものを、果たして、私たちは関知できない。関知できないものに対する恐怖である。それは、関知できないという閉鎖空間に追い込まれることである。この空間に迷い混んだら、逃げ出せないという恐怖である。

 私たちはいろいろな認識の道具を持っている。しかし、それは私たちが生存している世界だけで有効である。いったん死後の世界に行くと、それはまったく無効なのである。

 僕たちが持ち得た科学技術にしてもそれは生きている世界だけで有効であり、死後の世界を推測できる道具ではない。なぜなら、科学は、私たちの五感を通してしか、成り立たない世界なのだから。だから、心霊などの世界がそこに存在ができると思うのである。
 死語の世界はまったくの暗黒の世界なのである。その中で私たちの存在というものはどういうものであろうか。また、その世界での僕たちの感覚というものはどのような存在なのであろうか。疑問はいくつもわき出てくるが、それに対する明快な答えは私たちは持ちあわせていない。そこで現れてくるものが宗教である。宗教の死生観などを通して私たちは死後の世界に安らぎを求める。

 しかし、恐怖映画が見せるものは、時には宗教を超えたような恐怖であり、追い詰められた人間は、宗教に頼ることも出来ずに、自分でしか解決できない。かっての恐怖映画では、ドラキュラは十字架を嫌い、そこには宗教的な威光があったように思う。エクソシストなどに見る悪魔払いでは、やはり宗教の力が悪魔に打ち勝つのである。しかし、そのような悪魔VS宗教という図式の映画から、最近の恐怖はだんだんと個人に分解された恐怖へと変わってきているように思う。

 つまり、祟りとか怨念とかそういうものが襲う個人への恐怖である。それを単純にテレビでは霊媒師が出てきて追い払うのであるが、僕にはあまり宗教的な力を感じることができない。そこには宗教というより、霊媒師VS悪霊としての図式が浮かんでいる。個人の超能力による悪魔払いが最近の主流で、その世界でも、宗教という権威は失墜し、さらに渾沌の様相を深めているように思う。21世紀は、科学も宗教も僕らの暗闇を照らす道具としては、まだ、十分ではないのであろうか。

 「何をしていいのかわからないとき」

早春の陽は川面のきらめき
網膜のけぶった空は盲点のざわめき

何をしていいのかわからないときは
透明ガラスのコップに水をあふれさせて
一息に飲もうよ
僕は僕だけのことを考えて
君のカケラもないように

何をしていいのかわからないときは
水色のロウソクに火をともし
炎を見つめようよ
僕は僕だけのことを考えて
君のカケラもないように

君のカケラ集めて
何をつくろうとしたの
君のカケラ集めて
再生させようとしたの

何をしていいのかわからないときは
僕は4Bの鉛筆で画用紙に
ボードレールの詩を写す

  *以前に書いたもの

補足1

先に紹介した「サンデー毎日」で
竹中平蔵の「広報疑惑」を暴く−−8月解散説浮上 大量造反で「郵政国会」一寸先は闇
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20050713-182250.html
谷部貢氏は次のように取材に対して書面回答している。

・父親の谷部龍二氏と竹中担当相は面識があり、その影響で仕事を受注した、あるいは龍二氏が竹中担当相の税務上の相談に乗っていたのではないかとの指摘もあるが。
「父は竹中大臣と面識さえなく、面識がない以上、当然税務相談に乗ったことがないとのことを父本人から確認をとっております。どうしてこのようなことが疑惑として取りざたされるのか、不可解としかいいようがありません」

「竹中氏のスリード社への口利き疑惑」の原点

 郵政民営化にかかわって、竹中大臣に対する疑惑について、毎日新聞は、次のように報道している。
サンデー毎日
竹中平蔵の「広報疑惑」を暴く−−8月解散説浮上 大量造反で「郵政国会」一寸先は闇
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20050713-182250.html
一部引用

竹中郵政民営化担当相をめぐる「広報疑惑」である。
 竹中担当相は2001年に経済財政政策担当相として入閣して以来、行政の透明性や公正性の大切さを繰り返し訴えてきた。
 だが、衆院郵政民営化特別委員会で民主党が政府の内部資料を暴露して重大疑惑が浮上した。簡単に言えば、政府広報チラシの発注に竹中担当相が「口利き」したのではないか、というものだ。口利きといえば不透明な政官業の癒着の象徴だ。
 政府は郵政民営化に対する国民の関心が低いことから、昨年10月に「広報タスクフォース」を設置してPR戦略を練ることにした。
 問題のチラシはその一環として今年2月20日、全国の地方紙に折り込まれて約1500万部が配られた。「郵政民営化ってそうだったんだ通信」とのタイトルで、テレビディレクターのテリー伊藤氏が竹中担当相に質問する体裁だ。
 竹中氏がまだ経済学者だった00年、電通出身の佐藤雅彦慶應大学教授との共著でベストセラーになった『経済ってそういうことだったのか会議』(日本経済新聞社)を思わせるタイトル。対談形式も同じだ。竹中担当相のセンスを反映したチラシだったことは間違いなさそうだ。
 このチラシの製作を請け負ったのが、有限会社「スリード」(本社・東京都江東区)という広告代理店である。だが、まず不自然なのは、同社が昨年3月に設立されたばかりで実績が少ないにもかかわらず、1億5614万円という巨額の契約が入札によらない「随意契約」だったことだ。

民主党は郵政問題で、この不透明な口利き疑惑について追及している。
2005年6月24日の中村てつじ民主党議員の質問で、スリード社が企画書についての質問があった。中村氏は国民をIQのランク付けで論議している見識のなさについて質問している。
中村氏のサイトより。

2005年6月24日
昨日(6月23日(木))の衆議院郵政民営化特別委員会は、冒頭、細田官房長官から折込チラシ不正契約問題への政府答弁が二転三転したことへの謝罪があり、それを受けて民主党は当日の質疑者を決定しました。
前日に「あるかも」とは聞いていましたが、その日の民主党3人目の質疑者としてその朝に選ばれました。それも、1時間半に及ぶ長時間の質疑です。
まず、竹中大臣の失言に対する謝罪を求め、また、スリード社が企画した「IQが低い層をターゲットにするラーニングプロモーション」に対する抗議を申し上げ、竹中大臣を質しました。

実際に問題になっているスリード社の戦略(案)
有限会社スリード
郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」
http://www.tetsu-chan.com/05-0622yuusei_rijikai2.pdf

これに対して、当事者の一つであるスリード社はどのように問題を把握しているのか。自社のサイトで次のように述べている。
スリード社 サイト
http://slied.jp/
スリード社の見る「経緯」および「現状」

郵政民営化フライヤー戦略」の内容に関する見解とお詫び
経緯
弊社は、郵政民営化キャンペーンにあたり、チラシを企画・制作を受注し、その前提として、2004年12月、内閣府政府広報室に対し「郵政民営化フライヤー戦略」なる企画書を提出いたしました。
現状
今回、郵政民営化の国会内議論で、一部議員から、弊社の情報ツールの受注経緯が疑惑視されるとともに、この企画書が、政府の郵政民営化への姿勢を糾弾する材料として使われる事態が起きました。
その結果、企画書内で分析軸として使用した“IQ”という言葉のみが抽出され、“政府は、小泉内閣支持層をIQが低いと分析している”との解釈で、国会質疑での追及と、この論旨を基とする追随記事が露出しました。
弊社の姿勢
弊社は、こうした一方的な解釈のもと、議員、ジャーナリストが発言し、その論調が、インターネット上で流通しつづけている事態を憂慮しています。
弊社の名誉、信頼を著しく毀損する事態として、今後は法的措置も含めて対応していく所存です。
(その経過も本ホームページでお知らせしてまいります)

平成17年7月4日、民主党五十嵐文彦議員はこの問題を次のように追及している。
国会での議事録より
平成17年7月4日  郵政民営化に関する特別委員会
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

○五十嵐委員 最初の時点ではほとんどまともな見積書も出ていないんですよ、ですから。二十八日に実質的に合意したと言っているんですが、二十八日に実質的に合意した時点では、こんな見積書は出ておりません。出ておりません。大ざっぱな、前にお示しした、メールに出ていた大ざっぱな金額しか書いていないんです。中身は精査をしておりません。ですから、これはインチキなんですよ、はっきり言って。
 この方は、スリード社という問題の会社はほとんど能力が、申しわけないけれども乏しいと思われます。なぜならば、ここに書いてあるでしょう、ページをあけていただければと思いますが、このコミュニケーション戦略案という十ページから始まるものですが、これはほとんどオフィスサンサーラの方の大嶋さんが書かれた内容ではありませんか。ですから、ラフ画というのもちゃんと、この間出されてきましたけれども、十九ページに、ラフ画を書かれたのは、大嶋というサインが入っている。ほとんどつくったのは大嶋さんの方なんですね。
 いわゆるインフォメーショングラフィックスというので引くと、大嶋さんの名前では二十二ぐらい検索でヒットします。ところが、この谷部さんの方は一つもヒットしません。つまり、全くこれは畑違いなのではないかなと思われます。
 つまり、これをつくったのはオフィスサンサーラ。この中にも出てくるんです。ですから、編集長にオフィスサンサーラの大嶋さんを据えてくださいと十五ページの一番下のところに、元宝島編集長、オフィスサンサーラの代表に、大嶋賢洋さんとおっしゃるんでしょうか、編集をさせてくださいというふうに出てくるんですね。
 つまり、これは、実質的なコンセプトを考えた方は大嶋さんの方であって、スリード社というのは、実質的にはほとんど中身にはかかわっていない。そして、オフィスサンサーラはこの仕事からおりられてしまったというふうに聞いています。
 そうすると、スリード社というのは何だったんでしょうか。何のためにこういう国の大きな仕事を、つくりたての会社、しかも、書かれている住所と実際のところが違うような会社、できたての会社、奥さんと二人だけでつくって、社員が二人の、自分を入れて二人しかいない会社にどうして国のこんな大きな仕事が発注されたんでしょうか。これは疑問だらけなんです。
 もう一度お答えをいただきたいと思いますが、これは実質的にスリード社が責任を持ってやった仕事とは言えないんじゃないですか。
○林政府参考人 お答えいたします。
 十二月十五日付の企画書、これの、スリード社以外の、連名になっているとか、それからまた、十二月二十八日のラフ案についてのお尋ねでございますけれども、私どもとしては、スリード社につきまして、いずれにしましても、実質的な企画の提案は、一貫して私どもタスクフォースに対しましてスリード社によってなされたということと認めております。それで、同社と契約を結ぶことにしたものでございます。
 なお、今お話のありましたオフィスサンサーラの代表である大嶋さんという方につきましては、この折り込みチラシの編集長を務められた、そのことは承知しております。
○五十嵐委員 実質的に、最初の二十八日に初めて出てきたラフ案ですか、そのラフ案についても大嶋さんが書かれたものなんですよね。
 今問題になっているスリード社の方ですが、これは、実際には広告の制作については経験がほとんどないのではないかなと思われる節があります。それは、折り込み会社の見積もりを待って、なかなか出てこないものですから、その最終的な見積もりが二月までずれ込んでしまった。これは、大手の広告制作会社ですと、それも含んで最初から契約をして、その範囲内でいろいろな広告会社とネゴをして、そして最終的な値段をむしろ決めていく、押しつけていくというようなやり方ですから、折り込み会社の見積もりが出るまで全体の見積もりが出ないなんということはあり得ないんですよ。それをやっていたということ自体が、多分スリード社というのはこういうお仕事に極めてふなれだったということが言えると思うんですね。
 なぜそんなふなれな会社が入ったのか。私が指摘をした中にも、メールの中にも、どこの馬の骨ともわからないところと契約をするのはいかがなものかという趣旨のメールが、これは広報室側から出ているんです。これはとても不思議なことなんですね。そのこと自体お認めになりますでしょうか、山本参事官に伺いたいと思う。
 私は今まで、室長以外の下の方にはお気の毒だと思って答弁を求めてきませんでしたけれども、そうやって室長がおとぼけになるんでしたら、一つ一つ確かめていかなきゃいけないと思いますが、山本参事官、お答えいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
 今、五十嵐委員はメールのことをおっしゃいましたけれども、メールにつきましては、半年以上も前のことですし、毎日膨大なメールの送受信をしておりますので、申しわけありませんが、一々記憶しておりません。また、その当時のメールも機械に残っておりませんので、私としては確認ができない状態でございます。
 折り込みチラシの企画をめぐりましては、もちろんいろいろタスクフォースの中で議論はありました。それはそうですけれども、だから、すべてが初めから意見が一致していなかったことはあったように思いますけれども、少なくとも、一民間業者さんのことを馬の骨と役所の外に向かって言ったことはないように思います。
 いずれにせよ、十二月十七日にスリード社から説明を受けて以降、いろいろ議論をしてきた中で、実質的に二十八日にゴーサインを出した。これまで繰り返し御説明してきたとおりでございます。
○五十嵐委員 はっきり申しまして、先ほどから言っていますが、内部告発者がおられるわけですよ。内部告発者は、一月初頭、上旬の段階で……(発言する者あり)言えるわけがないでしょう。上旬の段階でまだ広報室は迷っていた、ここを使うかどうか迷っていたということを言われております。それがメールの中にあらわれているんですね。ですから私は申し上げているんですけれども、これは大変無理なことだ。
 もう一つ重大なことは、これは最初、広報室が抵抗されていたのは、やはり電通さんと概括的なお話があって、電通さんにお仕事を最初お約束していたか何かなんだろうと思います。後で仕分けをやり直さなきゃいけないということで、その仕分けのメールが来ているわけですね、電通から。もうなくなってしまったと前回お答えになりましたけれども、その仕分けのメールが来て、それをお示しさせていただきました。
 そのときに、付随する言葉で、デマケーションという言葉を言いましたけれども、これは縄張り分けという意味です、縄張り分けをした後の電通から、電通扱いのテレビコマーシャルが幾ら、あるいは新聞の広告が幾らというのを出したわけですが、それに付随して出てきたわけです。電通のIさんという方からそのメールが来たわけですが、これは準備室に来たんです。そして、準備室から広報関係者のところにそれが転送されているんです。その転送された中に「現在の電通分の予算内訳を送付します。 なお、別添」その予算内訳の別添には「知識人対策の五千万は含まれていません。」ということが書いてあるんですね。
 これは、五千万というのはわけがわからないと言っていましたけれども、はっきり、これは内部メールです。先ほどお認めになりましたように、メールが流出しているという言葉が大臣からありましたように、知識人対策五千万円というのが使われている。これはまさに大疑惑ですね。第二の官房機密費、内閣機密費じゃありませんか。こんな形で、知識人対策で五千万がばらまかれている、そういう可能性が非常に大きいと思いますが、このことについてはっきりした御説明をいただきたいと思います。

また、共産党佐々木憲昭氏も次のような旨の追及をしている。
政府広報」疑惑 政府との契約書に書かれた住所には、スリード社「存在せず」
http://www.sasaki-kensho.jp/else/article/else_050629.html

佐々木議員の調査によると、契約書上の「スリード」社の所在地は「東京都千代田区神田神保町」と書かれていますが、この住所での会社登記はありません。
 実際に「スリード」社が登記している本店の所在地は「東京都江東区大島」でした。

スリード社 サイトにおいては会社の概要を次のように書いている。

所在地 東京都千代田区神田神保町1−22
設立 2004年3月30日
    (登記地:東京都江東区

この問題に対する「スリード社」の対応である。
スリード社 サイト
http://slied.jp/
郵政民営化公報疑惑とされる問題
2005年9月9日
有限会社スリードは、五十嵐文彦氏を相手とする訴訟を提起しました。
http://slied.jp/yusei_050909.html

さて有限会社スリードは、この度、民主党 元衆議院議員 五十嵐文彦氏(注:9月9日現在)を相手とする訴訟を起こすに至り、05年9月9日付けで、東京地方裁判所民事部に訴状を提出いたしました

2005年9月15日
郵政民営化フライヤー戦略」の内容に関する見解とお詫び
http://slied.jp/yusei_050915.html

その上で、内部資料とはいえ、こうした誤解を誘発する表現を行ったことは、弊社にとっても大いに反省すべきと考え、ご迷惑をお掛けし、不愉快な思いをされた全ての方々に対し、ここにお詫びを申し上げます

さて、スリード社の代表は、谷部貢氏である。彼と竹中氏の関係については、次ぎにサイトに詳しい。
政府広報口利き疑惑の闇
国税OBのドンとのただならぬ関係説も
  注)リベラルタイム10月号 政府広報「口利き疑惑」の引用と思われる
http://tech.ciao.jp/blog2/archives/2005/09/post_86.html

スリードをタスクフォースに推薦したのは竹中氏の秘書官の岸博幸氏とされる。役所の慣習からすれば異例も異例、「一秘書官の裁量では出来得ないこと」(霞が関の官僚)とされ、竹中氏の介入が疑われたのだ。なぜ、こうした「異常な発注」(若手官僚)が可能だったのか。その鍵は、スリード社長の谷部貢氏の「血筋」にあるとの見方は少なくない。
 谷部貢氏は大日本印刷に入社後、博報堂を経て独立し、同社を興した。博報堂では企業の広報戦略の立案業務を担当、オリックス東北電力等有力企業をクライアントに抱えていた。本人を知る広告業界関係者は「博報堂時代からの取引先だけでなくマスコミや政府関係者と不思議と幅広い人脈を持っていた」という。それもそのはずなのかもしれない。貢氏の父、谷部龍二氏は国税庁の「ノンキャリのドン」といわれる大物だからだ。
 龍二氏はノンキャリでは最高ポストとされる熊本国税局長に上り詰め、退官した後は、複数の「ヤメ検」大物弁護士と国税庁OB会計士等からなる「中央合同事務所」を主宰。国税当局に大きな影響力を持ち、政財界とのパイプも太いとされる人物だ。多くの米企業の監査役に名を連ね、数年前、[年収六億円の会計士」として国会を騒がせたこともある。
(略)
そうした龍二氏と竹中氏の接点は、どこにあるのだろうか。全国紙のある社会部記者は、「竹中氏の妻が現社長を務めるファミリー企業『へイズリサーチセンター』にあるのではという声は消えない」と声を潜める。
 へイズ社は竹中氏が慶応義塾総合政策学部の教授に就任した翌年の九七年、経済政策の立案やコンサルティングを目的に設立。当初は竹中氏自身が社長をしていた。教授業の肩書を使って始めた事業だが、私大教授の兼業は法的に問題があるわけではない。
 だが、へイズ社は一介の大学教授のサイドビジネスとは思えない派手な稼ぎぶりを見せる。竹中氏の講演や企業の顧問収入等、収益源は多岐にわたり、過去に公示された法人申告所得を遡ると、九九年六月期約五千四百万円、二〇〇〇年六月期五千九百万円、〇一年六月期五千五百万円。この申告所得の額から推定すると、数億円以上の売り上げがあったのは間違いない。

五十嵐氏から「私が指摘をした中にも、メールの中にも、どこの馬の骨ともわからないところと契約をするのはいかがなものかという趣旨のメールが、これは広報室側から出ているんです。」と国会で言われると、元国税ノンキャリアのドンの息子の谷部貢氏にとっては、憤慨の極みということで、今回の訴訟になったのであろうか。
節税の一筋の竹中氏と国税のドンに、どのようなつながりがあったのかは、推測の域であるが、もし、そこに何らかの恩恵があったのであれば、恩返しの「口利き」が存在しても不思議ではない。もちろん、これ推測の範囲のことである。

国民対立の構図による統治

何が小泉政治を勝たせたか
http://suyiryutei.exblog.jp/3461486/

人材育成コンサルタント辛淑玉さんは「キーワードは『憎悪』だ」と指摘している(昨日の朝日夕刊)。不況でもっとも打撃を受けている都市部の若者の中には「バーチャルなナショナリズムに酔いしれ、ネット上でマイノリティーを攻撃する者も少なくない。小泉さんは彼らの憎しみを、不況でも身分が保障された公務員に向けさせた」。「このように『大衆の攻撃性』を煽動するやり方は、一歩引いてみると稚拙な手法だが、それにだまされるほど社会は閉塞している」。
いつもながら、この人は鋭い。

ホリエモンに代表されるような「勝ち組」だけでなく、ニートやフリーターなど「経済的弱者」もかなりの数、窮状の打開を経済の活性化に求めて、小泉「改革」に票を投じたのではないだろうか。改革を郵政民営化に矮小化させた小泉さんは、選挙の終盤ではさらに「郵便局員から公務員の身分を奪う」ことにまで訴えを特化させた。すこし考えればあまりに無茶な単純化であることがわかるけれど、「日本社会の側に、複雑な思考に耐ええなくなっており、ひたすら『わかりやすさ』を求めているという知的衰弱があるのではないか」(矢幡洋『小泉支持率にみる知的衰弱』 世界9月号)。こういう世の中では、特定の対象を生贄にして憎悪を煽るのが、いちばん手っ取り早く票になるらしい。

小泉氏の手法として、「郵政公社職員」と「フリーター」を対立させながら、小泉自民党にとりくこむ手法がどれだけのものか検証はできていなが、これが戦略であった可能性は高いだろう。手法は単純だが、小泉氏らしいわかりやすい対立軸のつくり方かもしれない。多くの国民が、都市と地方、公務員とフリーター(ニートもふむめて)という対立軸の中で踊らされながら、統治させるのだろうか。