キャリア教育

今日、フリーター問題に関するセミナーに参加する。フリーター問題については、いくつかの指摘があったが、フリーター問題の本質にとどくような講師の発言はなかった。行政関係の講師ということで、内容も政府の発信する内容にとどまっていて、響くものはなかった。

いくつかのリンク
「キャリア教育」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/023/toushin/04012801.htm

その第1は,就職・就業をめぐる環境が激変したことである。経済のグローバル化が著しく進展し激しい競争を強いられる中,企業はコスト削減や経営の合理化を余儀なくされ,製造部門の海外移転をはじめ,営業・販売部門等の再構築や,それに伴う雇用調整等を進めている。また,職業人に求められる資質や能力も大きく変化し,採用においては,即戦力志向の高まりや業務の高度化に伴って,経験者採用や中途採用,さらには,外部委託等の比重が高まるとともに,定型的業務については,正規雇用から一時的・非正規雇用(アルバイトやパート等)への切り替えが,広い範囲にわたって進められている。

文部科学省の考えはここどまりのようだ。ところで、別のサイトでは、このような指摘がある。
フリーター問題の核心
http://www.president.co.jp/pre/special/aiai/074.html

今後フリーターを増やすという企業が約40%あったのに対し、正社員を増やすという企業は4%。これはどういうことかというと、正社員の賃金水準がフリーターの賃金水準に収斂されていくということである。しかも急速に。唯一番組のなかでこのことを示唆していたのは、フリーターと正社員を同じ賃金体系にしたある家電量販店の話である。経営幹部以外は、すべて同じ扱いにする、とこの会社の人事担当者は言っていたが、このことこそ、フリーター問題の核心である。番組は「正社員もうかうかしていられない時代です」みたいな話で終わっていたが、そんなどころの話ではない。是非ともこの切り口だけでもう一本特集を組んでほしい。ここを掘り下げなければ、絶対にフリーターを減らす「妙案」など出てきたりはしないと思うし、フリーター本人やフリーターの親以外は、ことの深刻さについて、真剣に考えないだろう。

特集「多様な人材活用を考える」
多様な人材活用に向けた企業の課題
(社)日本経済団体連合会 労働政策本部企画調査グループ長 田中恒行
http://www.aikeikyo.com/kaihotop/0403top.html

雇用のポートフォリオの高度化
まず第1が、雇用のポートフォリオの高度化である。雇用のポートフォリオとは、自社の経営環境と就労者のニーズを踏まえて、正社員、有期契約社員、パート社員、派遣社員等の多様な雇用形態の労働者を適切に組み合わせて経営を行なうという考え方であるが、今後は雇用形態のみならず、就労場所や労働時間などの就労形態の多様化も進めて、従業員の能力活用と自社の生産性向上の両立を実現する「自社型雇用ポートフォリオ」の高度化が必要である。
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第2が、多様な人材の活用を可能にする人事賃金制度の見直しである。特に年齢や勤続年数等の属人的要素をもとにした年功的な人事賃金制度については、相対的に中高年層の賃金水準を高めるだけでなく、多様な人材の活用の妨げになりうるため、その見直しが必要である。年齢や勤続年数、性別等に関係なく、能力に応じて人材を活用できるようにすることは、従業員にとっても企業側にとっても重要なことである。
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これを見てみると、文部科学省が言うようなグローバル化の進展による受け身の企業の雇用のあり方ではなく、積極的に企業は戦略としての「雇用のポートフォリオ」を打ち出していることがわかる。ところが、この部分の指摘が欠落し、さらに、現在のフリーター問題を個人の資質や家庭教育のあり方に押し付けている側面がある。企業の海外進出による国内の産業空洞化は、単に経済活動だけでなく、日本人、とりわけ若者の意識や行動様式に深く関連していることに着目すべきであろう。

その他リンク
第7回仕事と生活の調和に関する検討会議
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0330-10c.html
中高生の関心事
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0330-10c2f.html
家・家族のことの関心が低いように思うのは僕だけだろうか。