ミサイル防衛(MD)の決定

MDというと、手軽な音楽の保存メディアの感じだが、最近、違うMDの決定がなされた。イラク戦争の陰に隠れているようだが、ミサイル防衛(MD)である。http://www.asahi.com/politics/update/1219/005.html

アメリカの外交戦略の一つに、北朝鮮をどのように利用するかという問題がある。ら致事件以来の外交において、北朝鮮は巧みに米国や中国との外交を展開しているように思う。その点、日本の外交は、北朝鮮と米国の思うつぼという感じがする。では、なぜそのように思うかを書いてみる。

アメリカと日本や韓国の軍事同盟は、東アジアのアメリカの戦略において重要な位置をしめている。そこには、北朝鮮に対するアメリカの脅威ではなく、具体的な当事国は、中国とロシアのように思う。

社会主義崩壊後のロシアには以前のような脅威がないが、それでも、中東やヨーロッパ諸国に対する影響力がある。中国の発展はめざましく、その経済的な地位も年々重要性を増している。

そのような意味において、アメリカの軍事戦略の要は、日本と韓国との軍事同盟である。その軍事同盟を強めるためには、北朝鮮の脅威はかっこうのものである。北朝鮮の脅威があるから、アメリカとの軍事同盟を強める必要があるというプロパガンダは効果的な戦略である。

例の不信船問題やテポドンの発射問題付近から、急激に北朝鮮の脅威が宣伝され始めた。さらにら致問題に至り、北朝鮮はら致事件を起こすテロ国家であり、その国家体制は独裁によるもので、すぐにでも転覆させてもかまわない国家であるという啓蒙が、日々テレビで流された。

僕は、北朝鮮の現体制を擁護しようなどとは思わないし、早期に民主的国家体制になってもらいたいものだと考える。さらに、戦勝国によって分断された民族も対立でなく、統合してもらいたい。

しかし、現実のアメリカや日本政府の戦略は、北朝鮮の脅威を必要以上にあおり、その脅威論によって日米の軍事同盟を強めようとしているように見える。さらに、ここにはアメリカと北朝鮮の戦略が、日本より優先されている現実を感じている。北朝鮮の体制が生き延びるのは、アメリカの態度にかかっているように思う。それ故に、北朝鮮はMDのためにはテポドンを太平洋に向けて発射するし、不信船事件も起こす。これは、まさにアメリカの外交が望むことである。このような行動が北朝鮮の体制を維持する方便のように感じる。

一部ら致家族会の政治的な発言や煽るような発言にも、組み込まれた戦略が見え隠れするように感じる。国家は国家のためには、個人をどのようにでも利用するし切り捨てる。ら致問題にしても、国家の状況に応じて、どのようにでも解釈し、また、それを利用する。

アメリカと北朝鮮のこのような戦略に、どれだけ日本がかんでいるのかが不透明であるが、そのような状況を通して、有事法制イラク特措法やMDを決定して来た経緯がありように思う。まさに、MDという多大な費用がかかる役に立たないシステムをアメリカのために買わされている。アメリカは、MDの決定に高笑いである。

今、まさに、アメリカは食物連鎖の頂点に立つ国として、過去の植民地主義とは違った方法で、ユニラテラリズムと新国家主義で世界を支配しようとしている。日本はそのための国であっても、それ以上のものとして、アメリカは考えていない。僕はそう思ってしまう。