北方町連続女性殺人事件

知人である弁護士がかかわっていた事件で、佐賀地裁が画期的な判断を示した。これは、「北方町連続女性殺人事件」といわれる事件で、時効直前に、同町出身の松江輝彦被告が起訴されいたが、検察側の重要な証拠である「上申書」を棄却した。

北方町連続女性殺人事件
http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/2003/report/0530.html

佐賀県北方町志久の大峠付近の山林で89年1月27日、行方不明になっていた女性3人の遺体を発見。被害者は同県武雄市武雄町、藤瀬澄子さん=当時(48)▽同県北方町志久、中島清美さん=同(50)▽同町大崎、吉野タツ代さん=同(37)。同県警は、時効完成が目前に迫った2002 年6月11日、同町出身の松江輝彦被告(40)を逮捕。佐賀地検は3件すべてを殺人罪で起訴した。

「自白」の上申書不採用 北方連続殺人・佐賀地裁 違法捜査を指摘
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040917-00000020-nnp-kyu

 佐賀県北方町の山中で一九八九年、女性三人の遺体が見つかった事件で、殺人罪に問われた同町出身で住所不定、無職松江輝彦被告(41)の公判が十六日、佐賀地裁であった。坂主勉裁判長は、被告が十五年前に任意の捜査に対して殺害を自白して書いたとされる上申書六十五通について、検察側の証拠採用請求を却下した。「捜査は任意調べの限界を超えており違法。(上申書の)信用性には疑いがある」と理由を述べた。
 同事件では有力な物証が乏しく、上申書を立証の柱とする検察側は公判維持を含め苦しい立場に追い込まれた。
 上申書は、被告が覚せい剤事件で起訴拘置中の八九年、同県警大町署で行われた任意の取り調べの中で作成され、三人の殺害動機や移動経路、遺棄状況などについて記載された。県警は被告がその後否認に転じたため逮捕を見送ったが、時効を目前にした二〇〇二年六月になり、女性三人の殺人容疑で逮捕に踏み切った。

■非常に画期的な決定

浜田寿美男奈良女子大学文学部教授(法心理学)の話
 威圧的な取り調べだったとして(上申書を)不採用にした決定は大変意義深い。裁く側にも自白があれば「犯人では」との推測が生まれるため、暴行など違法捜査の事実がない限り、任意性を否定することは難しい。非常に画期的な決定といえる。

佐賀県警は、この事件をふくめて「佐賀女性7人連続殺人事件」をかかえており、すでに他の4人については時効が成立している。また、1981年には「佐賀替え玉殺人事件」、1998年に「佐賀・長崎連続保険金殺人事件」という世間をさがわせた事件があったが、そこでも佐賀県警のおそまつさを露呈している。佐賀県警は「サバケンケイ(仕事がさばけないという意)」と揶揄される、事件を起こすなら佐賀県とまで言われる。
松江被告の逮捕は、そのような風評の中で、佐賀県警が人事を一新して、面目躍如という時期に行われた。県警としては、いかにしても、佐賀女性連続殺人事件は解決せねばならない事案であった。それだからこそ、そこに、冤罪が生まれる素地ができている。

佐賀替え玉殺人事件  昭和57年 警察白書より
http://www.pdc.npa.go.jp/hakusyo/s57/s570400.html

〔事例〕 多額の負債を抱え、経営に行き詰まった鮮魚卸販売商(42)が、妻ら2人と共謀し、自らが被保険者となっている総額3億1,900万円に上る生命保険契約があることを利用し、年齢、体格等が自己に似ている他の男性を殺害して、自己が死亡したものとして保険金をだまし取ろうと企て、1月21日、競艇場で知り合った土木作業員(46)を金属バットで殴打し、車ごと海中に転落させてでき死させた。1月28日、妻ら共犯2人を逮捕したが、翌日、主犯は、鉄道自殺した(佐賀)

佐賀・長崎連続保険金殺人事件
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kako/200207/24.html

1998年10月27日未明、北高小長井町の港で山口礼子被告(43)の二男吉則君=当時(16)=が水死した。山口被告は「イカすくいに来ていて、姿が見えなくなった」と説明したが、長崎県警の捜査で吉則君の遺体から検出した薬の成分が、山口被告が病院で処方された睡眠薬と一致し、99年8月末、交際相手の外尾計夫被告(55)とともに殺人などの疑いで逮捕。佐賀県警が事故死として処理していた92年9月の夫克彦さん=当時(38)=の水死も、保険金目的の殺人と判明した。