靖国神社A級戦犯合祀の付記

誰が靖国神社総代会で「A級戦犯合祀」を主張したのか。
筑波常治教授の定年退職と筑波藤麿靖國神社宮司
http://www.geocities.jp/ahmadjan_aqsaqal/zatu/zt010708.html

筑波教授の父、筑波藤麿氏は、敗戰後、長らく靖國神社宮司を勤めてゐた。その在任中、昭和四十五年(一九七〇)六月三十日、靖國神社總代會で、青木一男元大東亞相の強硬な主張によつて極東軍事裁判A級戰犯を靖國神社に合祀する方針が決められた。ただし、合祀の時期は宮司に任せる、とされた。極東軍事裁判A級戰犯を「戰爭責任者として合祀しないとなると神社の責任は重いぞ」といふ青木一男による脅迫まがいの主張に對して、筑波藤麿宮司は、「ご方針に従う。時期は慎重に考慮したい」と答へ、實施を延ばし、結局、在任中には極東軍事裁判A級戰犯合祀を行はなかつた。

松平永芳宮司の前任の筑波藤麿宮司が述べたことらしい。ただ、誰がこれを書いたのかが判然としない。松平永芳宮司の講演録には総代の方から「A級は一体どうするんだ」という書かれているが、ここでは、はっきりと、昭和四十五年(一九七〇)六月三十日、靖國神社總代會で、「青木一男元大東亞相による脅迫まがいの主張」と書いてある。この文章から判断すると、青木一男が総代会で強行に主張しに、筑波藤麿宮司の「ご方針に従う。時期は慎重に考慮したい」という言葉で一応はおさまったということである。それを受けて、次の松平永芳宮司が「A級戦犯合祀」を行ったことになる。

A級戦犯合祀」について、系統的に下記のサイトが詳しい。
靖国神社参拝と“A級戦犯”の合祀     大原康男国学院大学教授)
http://www.nipponkaigi.org/reidai01/Opinion1(J)/yasukuni/ohara.htm

いわゆる「A級戦犯」合祀の経緯
(1)占領終了後、靖国神社合祀の迅速化を求める戦没者の遺族の要望に応えるために、昭和31年4月19日、遺族援護行政を所管する厚生省引揚援護局長は「靖国神社合祀事務に関する協力について」と題する通知を発し、都道府県に対して合祀事務に協力するよう指示。

それは、祭神の選考は厚生省・都道府県が行ない、祭神の合祀は靖国神社が行なうという官民一体の共同作業で、祭神選考は「戦傷病者戦没者遺族等援護法」と「恩給法」に原則的に依拠している。そして、先の大戦が総力戦であったことで法の適用対象が拡大し、それによって祭神の範囲も拡大。例えば、徴用された船舶の乗組員・警防団員・国民義勇隊員など。

(2)一方、昭和27年4月28日に発効した対日講和条約第11条(資料?)によって、それ以後も引き続いて服役しなければならない1224名の「戦犯」に国民の同情が集まり、その早期釈放を求める一大国民運動が同年7月から起こる。(最終的には約4000万人の署名が集まる。)

(3)この国民世論を背景にして、国会で昭和28年8月から「戦傷病者戦没者遺族等援護法」および「恩給法」の改正が重ねられ、「戦犯」の遺族も戦没者の遺族と同様に遺族年金・弔意金・扶助料などが支給され、さらに受刑者本人に対する恩給も支給されるようになる。

 そこにはA級とB・C級の区別はなく、また、国内法の犯罪者とはみなさず、恩給権の消滅や選挙権・被選挙権の剥奪もない。(刑死者は「法務死」と呼称)

(4)こうして「戦犯」関係にも「戦傷病者戦没者遺族等援護法」と「恩給法」が適用されたことで、靖国神社の祭神選考の対象となり、昭和34年3月10日付「日本国との平和条約第11条関係合祀者祭神名票送付について」(引揚援護局長通知)によって送付された祭神名票に基づいて最初の「戦犯」合祀がなされた。

 「A級戦犯」14人については、昭和41年2月8日付「靖国神社未合祀戦争裁判関係死没者に関する祭神名票について」(引揚援護局調査課長通知)によって祭神名票が送付され、昭和46年の崇敬者総代会で了承、昭和53年秋季例大祭前日の霊璽奉安祭で合祀される。

 一般に知られたのは翌54年4月19日の新聞報道だが、太平正芳首相は従前通り参拝。

「昭和46年の崇敬者総代会で了承」というものが、例の青木一男による「脅迫まがいの主張」(筑波藤麿によると)がなされたときの総代会である。


文官としての合祀 廣田弘毅
http://www.tabiken.com/history/doc/P/P203L100.HTM
極東軍事裁判では、軍人ばかりでなく文官(首相、外相)であった廣田弘毅A級戦犯として他の6人の軍人と共に処刑された。「昭和殉難者」として、靖国神社に合祀されている。
廣田弘毅軍部大臣現役武官制を復活させ、それゆえに、軍部の暴走を止めることができなかったのかもしれない。
軍部大臣現役武官制
http://www.usleaf2001.com/h_data/bukansei.html