二酸化炭素による地球の温暖化はあるのか

 先日、九州と山口の企業がバックアップする団体のセミナーに参加した。
内容は、地球環境とエネルギー問題であった。この中に、地球温暖化の原因を二酸化炭素とする話があったが、講話を聴きながら、なにかすっきりしないものがあった。話を箇条書きにすると
 ・ イントロダクション エネルギーを消費する人類
   (夜の地球と都市部の光)
 ・ 石油(化石燃料)は無限か、また、今後の開発コストはどうなるか
 ・ 二酸化炭素地球温暖化の原因物質である
 ・ 二酸化炭素の排出と地球の温暖化
 ・ 新エネルギーが開発されてきている
 ・ 新エネルギーは石油代替のエネルギーになりえるか(疑問形で終わる)
 この講義の途中に、大型のビニール袋にビニール製の地球を入れたものを2つ用意して、一方は二酸化炭素をビニール袋に注入し、他方は普通の空気を入れる。この2つに光源を当て、内部の温度変化を測る。15分ほどして、温度を測ると、約2°Cほど二酸化炭素を注入した方が温度上昇している。
 対照実験であるが、これは「二酸化炭素が空気に比べて温室効果がある」という実験であり、何ら「地球の大気に含まれる二酸化炭素温室効果があることを証明する」ものではない。
 100%の二酸化炭素を入れたものと、地球の大気を比較する自体がナンセンスであるが、このような実験を目の当たりにした参加者の大部分は、二酸化炭素によって、地球が温暖化されるということを信じきってしまう。(信じていたこと確信する)
 この実験の悪質な点は、ビニール袋の中に、地球儀を入れていることである。これで多くの参加者は、すっかりこの実験を地球大気の実験とすり替えてしまう。この実験をしていたのは、九州の教員養成の大学の教員であるから、多くの学生がそのように思いこんで卒業してしまうのだろう。

二酸化炭素地球温暖化の原因物質であるかについて疑問を呈するサイトがある。
「環境問題を考える」  近藤邦明
http://env01.cool.ne.jp/index02.htm
このサイトの「二酸化炭素地球温暖化脅威説批判」をご覧あれ。
さらに、このサイトの「§6.社会問題としての地球温暖化」の部分に次のような記述がある。

6-3 社会問題としての地球温暖化
 人為的に排出された二酸化炭素によって、その大気中濃度が上昇し、温室効果の増大によって平均気温の上昇、特に寒冷な高緯度地方において顕著な気温上昇が起こるという、二酸化炭素地球温暖化説で描かれたシナリオは、たとえそれが現実に起こったとしても、これは生態系にとって好ましい変化であって、地球という定常開放系の定常性を破壊することはなく、したがって環境問題ではない。
 しかし、現実の社会では大多数の人々が、「二酸化炭素地球温暖化脅威説」に描かれたシナリオが現実に進行中であり、これが「現在の地球における中心的な環境問題なのだ」と『信じて』いる。それだけではない。各国政府は、このシナリオの下で現実の政策を立案して法制化しているのである。こうした、理由のない妄信的な信頼によって成立し、運営される政治は危うい。前世界大戦で苦い経験をしたはずのジャーナリズム、マスコミは、またしても同じ轍を踏もうとしている。
 既に、地球温暖化説が登場した歴史的な事実や背景については、多くの著書があるのでここでは繰り返さない。以下、現在の社会問題という側面から、どのようにして地球温暖化が信じられ、政策が立案され、一体誰が利益を得るのかを考えていく。

さらに、次のような記述がある。

(1) 先進国・企業の経済戦略

 既に先進工業国においては、物質的な、特に工業製品に関して、豊かさは飽和状態に達しつつある。また、一般に流通する工業製品生産については、途上国への技術移転が進み、安い労働賃金に支えられた安価で優れた製品が世界市場に大量に供給され始めている。その結果、先進工業国グループの世界市場における工業製品のシェアあるいは絶対的な生産量は低下傾向にある。
 更なる経済成長によって、あくなき豊かさを追求するために、先進工業国グループが世界市場において再びそのシェアを回復するためには、最先端技術を用いた新規の商品を開発することが必要である。その絶好の大義名分が「二酸化炭素地球温暖化脅威説」を背景とする「エコ商品」の投入である。
 それを国際的に制度として後押ししようとする枠組みが『京都議定書』である。冷静に考えれば、京都議定書の示す、各国に割り当てられた二酸化炭素排出削減目標あるいは排出権は不当なものである。これは、既に大量の二酸化炭素を排出して、物質的な豊かさを獲得した先進国グループの既得権益の保護と、途上国の正当で自発的発展の制限である。
 また、京都メカニズムあるいはクリーン開発メカニズムとは、先進工業国グループが最先端技術の新たな販路として途上国を確保することを強力に後押しするものであり、更にその見返りとして二酸化炭素排出権を自国に移転することによって、更なる市場支配力を強固なものにする。更に、二酸化炭素排出権取引という『仮空の市場』は、無から大金を生み出す仕組みとして、投機の対象として先進工業国にとって魅力的な市場である。
 日本国内においても状況は同じである。国家戦略として『エコ商品』開発を強力に後押しし、「環境にやさしい」という裏づけの無い謳い文句の下で、一般の市場価格より高い商品が売られ、あまりにも高くて普及が望めないような商品については国家補助という名目で税金が企業へ流れているのである。企業にとっては『エコ商品』は非常に収益性の高い魅力的な市場なのである。
 こうして、二酸化炭素地球温暖化脅威説によって、先進工業国グループは世界市場の支配権を将来的にも確保することが保障される。先進工業国グループにとっては、二酸化炭素地球温暖化脅威説の自然科学的な妥当性の検討など、どうでも良いことであって、世界市場における支配権の確保に有効であるから、二酸化炭素地球温暖化脅威説を強力に支持しているのである。

このサイトの管理人である近藤邦明氏の主張である。
最後に結論として、次のように記述している。

6-4 結論

 先進工業国・企業の世界市場における利権の拡大の野望の下で、更なる利益追求を目指す企業と、これを無批判に後押しし、同時に新たな利権にありつこうとする国、研究費によってこれに追従する大学・研究機関という産官学共同体と、その宣伝部隊としてのマスコミ・報道機関によって創られた多くの人が信じる共同幻想が、社会問題としての『地球温暖化』なのである。

 なかなか手厳しい批判であるが、僕が受けたセミナーなどは「共同幻想、社会問題としての『地球温暖化』」ということになるのだろうか。ここまで言い切るのはちゅうちょするが、このセミナーにはこれに近いニュアンスを感じるのは十分であった。
 このセミナーの団体のバックには、九州電力が控えているのであろうし、今、すすめようとしているプルサーマルMOX燃料)による電力開発をしようとしているのだから、直接的にプルサーマルに言及していなかったが、話のスジとしては、そこら方面に落ち着きそうである。

 地球温暖化の問題については、次のサイトも注目である。
「地球環境問題の歪曲」 田中 宇
http://tanakanews.com/f0827warming.htm
地球温暖化京都会議への消えない疑問」田中宇 1997年12月16日
http://tanakanews.com/971216COP3.htm
田中氏の興味ある記述。

工業化による環境破壊でまず目に付くのは、水質汚染や大気汚染といった従来型の公害だが、これらはほとんどの場合、工場がある国の内部の問題で、外国の勢力がとやかく言えるものではない。もし、ヨーロッパの市民団体が、中国の工場の煤煙や排水による中国の人々への悪影響を問題にしたとしても、一般の人々の関心はあまり引かないだろうし、内政干渉になるので、欧州各国の政府の賛同もまず得られない。

 その点、地球温暖化なら話は早い。中国の工場が出している二酸化炭素で、ニューヨークやロンドンの市民が被害を受けている、と言うことができる。温暖化と二酸化炭素との関係はまだはっきりしていないのだが、そこをあたかも自明の理であるように思わせるのが、「環境問題」という言葉の魔力なのであろう。

環境問題が政治的に扱われ、同時に、企業利益とグローバリズムにも関連している問題のようである。