狂気の引鉄

 今のイラク情勢を考えると「衝撃」も「恐怖」もアメリカに向けられていたのではないかと考えてしまう。ブッシュ大統領の支持率は急降下し、改めて「9・11」のテロとその背景が問い直されている。これは、イラク戦争が正当な戦争であったのかという根本的な疑問に波及している。

 「9・11」をブッシュ大統領は「これは戦争である」と言った。アメリカを攻撃されたのであるならば、アメリカには攻撃する権利があり、相手がテロリストであるならば、その悪を徹底的に滅ぼすといのが主張であった。アフガンへの侵攻、さらに、「悪の枢軸」という言葉を巧みにあやつり、その攻撃対象を拡大した。

 圧倒的戦力による攻撃と制圧は何をうむのだろうか。「9・11」以後の戦争と戦闘とにより、多くの兵士と市民が死亡した。その結果、得られたものは何であろうか。「9・11」は、戦争という形に新たな意味を付け加えたのだろう。確かに、貿易ビルのツインタワーに旅客機が突入する映像を見た時、歴史の新たな転換を感じた。それは、けっして、いい意味ではなく、新たな21世紀の狂気の引鉄がひかれた日であったように感じた。さらに、その渦の中で、日本は悪い意味で加担しようとしている。僕にはそのような感じがする。