国民対立の構図による統治

何が小泉政治を勝たせたか
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人材育成コンサルタント辛淑玉さんは「キーワードは『憎悪』だ」と指摘している(昨日の朝日夕刊)。不況でもっとも打撃を受けている都市部の若者の中には「バーチャルなナショナリズムに酔いしれ、ネット上でマイノリティーを攻撃する者も少なくない。小泉さんは彼らの憎しみを、不況でも身分が保障された公務員に向けさせた」。「このように『大衆の攻撃性』を煽動するやり方は、一歩引いてみると稚拙な手法だが、それにだまされるほど社会は閉塞している」。
いつもながら、この人は鋭い。

ホリエモンに代表されるような「勝ち組」だけでなく、ニートやフリーターなど「経済的弱者」もかなりの数、窮状の打開を経済の活性化に求めて、小泉「改革」に票を投じたのではないだろうか。改革を郵政民営化に矮小化させた小泉さんは、選挙の終盤ではさらに「郵便局員から公務員の身分を奪う」ことにまで訴えを特化させた。すこし考えればあまりに無茶な単純化であることがわかるけれど、「日本社会の側に、複雑な思考に耐ええなくなっており、ひたすら『わかりやすさ』を求めているという知的衰弱があるのではないか」(矢幡洋『小泉支持率にみる知的衰弱』 世界9月号)。こういう世の中では、特定の対象を生贄にして憎悪を煽るのが、いちばん手っ取り早く票になるらしい。

小泉氏の手法として、「郵政公社職員」と「フリーター」を対立させながら、小泉自民党にとりくこむ手法がどれだけのものか検証はできていなが、これが戦略であった可能性は高いだろう。手法は単純だが、小泉氏らしいわかりやすい対立軸のつくり方かもしれない。多くの国民が、都市と地方、公務員とフリーター(ニートもふむめて)という対立軸の中で踊らされながら、統治させるのだろうか。