EBMと劣化ウラン 

1、「EBM」、「evidence-based medicine」という用語

EBMエビデンス・ベースド・メディシン)について調べてみた。EBMは(Evidence-Based Medicine)ということで、直訳すると「根拠に基づく医療」であろうか。
EBMジャーナル」のWEBサイトを覗いてみた。
http://www.nakayamashoten.co.jp/ebm/index.htm
ここの「今月のキーワード」に「EBM」がある。関心のある方はpdfでダウンロードできる。
ここで、名郷直樹氏が次のように述べている。

EBMとは,もちろんevidence-based medicineの略である.そしてEBMと略されるようになって,急速にその言葉だけは普及したように思われる.しかしその急速な普及の反面,EBMと略されて語られるEBMという言葉は,略されないevidence-based medicine とは違った何かとして語られることが多いように思われる.癌患者にとっての癌という言葉が,その生物学的な意味での癌以上の多くのことを意味す
るように,臨床医にとってのEBMも同様ではないだろうか.EBMと略されるようになって,evidence-based medicine 以上の何か,熱狂,意見,批判,対立など,さまざまなものがもたらされた.EBMについて語るとき,自分自身のEBMの定義のみならず,多くの人のさまざまなEBMの定義も考慮し,それらのすべてを含んで議論する必要がある.

EBMが、まだ、日本では新しい概念で、「EBM」という用語の使用について混乱があることを示している。
用語の混乱を避けるために、名郷氏は次のような提起をしている。

EBMと略されたものが表すものは,一般的にはEBMに関わるすべてであることが多い.medicine のみならず,看護も,薬剤も,医療政策も,公衆衛生も,EBMと略されたものの中で議論されている.EBMの前段階とでもいう臨床疫学が,疫学と一線を画し個人個人への医療の提供の手法として発展してきたことを考えれば,EBMとは目の前の患者に始まり患者に終わる臨床のプロセスに限定したほうが誤解が少なくてすむ.それと区別
するために,例えば医療政策に関わるものはevidence-based policy-making,公衆衛生領域のものはevidence-based public health とよぶのが筋だろう.ただ現実にはそのような区別が曖昧となり,すべてがEBMという略語で総括されているのが現状である.
(中略)
広義のEBMを単にEBMとよび,狭義のEBMをevidence-based medicine と略さずよぶのが,混乱や誤解を避けるためにはよいかもしれない.そこでEBMを,昨今起こってきたEBMに関わるすべてを含む,最も広い概念として定義づけしたいというのが私の意見である.

今後、EBMの手法が劣化ウランの問題に対してどのような有効性を持つのか考えてみたい。