ガウスの逸話

 以前から気になっていたが、調べるでもなく放置していることがあるものだ。そのようなものは、時として、意識化されながら、明滅しながら放置されていく。
 気になっていたことの一つに、「ガウスの逸話」がある。小学生の低学年の頃、先生からから「1から100まで足しなさい」と出題され、わずかの時間で答えたというものである。
 どうして、気になっていたのかは、これは実話なのかというものである。たまたま読んでいた「現代思想」7月号の飯田隆の論にこの話が出ていて、ネットでちょっと調べてみた。

ウィキペディアによると
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%82%A6%E3%82%B9

子供の頃から彼は神童ぶりを発揮し、逸話として、小学校での話がのこっている(彼は後年好んでこの話をしたそうだ)。ある時、1から100までの数字すべてを足すように課題を出された。それを彼は、1+100=101、99+2=101、98+3=101・・・となるので答えは101*50=5050だ、と即座に解答して教師を驚かせた。実際、算術の教師は彼の才能を見るにつけ、このような天才に自分が教えられることは何もないと言ったそうである。

 どうも、ほんとうらしい。
別のサイトでは
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9874/episode1.html#gaus

数学、天文学、物理学とあらゆる分野で活躍した天才。幼少より神童ぶりを発揮した。小学校3年生の時に「1から100までの数を全て足すと、いくつか」という問題に対して、彼は瞬時に答えを出した。驚いた先生が解き方を質問すると「1と100を足すと101、2と99を足しても101.だから101を50個足すと5050」と明快に答えた。その先生は、もうガウス少年には教えることがないと悟り、高校生の使う数学書をとり寄せて与えた。

かなり、逸話は発展している。

さらに、次のサイトの説明が、僕が聞いた逸話に一番近い。
http://research.nii.ac.jp/~uno/algo_1.htm

高名な数学者(ガロアだったか、ガウスだったと思うんですが、なにせ、小学校のときに見た本の記憶なもので)の、小学校時代の逸話を紹介しましょう。彼が小学生だったとき、ある算数の授業で、彼の先生は、ちょっと楽をしようと思い、生徒たちにこんな課題を出したそうです。

「1から100までの数を全て足した数を計算しなさい」

これを計算するには99回足し算をする必要がありますから、しばらくは休めるなと思ったわけです。しかし、先生がやれやれ、と自分の席につこうとすると、生徒の一人だった彼は、たちどころに、「できました」と答えたそうです。そんなばかな、と先生がチェックしに行くと、確かに5050という正解が書いてあります。別に彼はそろばんの段位を持っていたわけではなく、計算が超人的に速かったわけではないのに、どうしてこんなことができたのでしょうか? その秘密は、彼の計算方法にあります。彼はこう考えました。

「1 と 100 を足すと 101、2 と 99を足すと 101、3 と 98 を足すと 101。このように、数を2つずつの組にすると、それぞれの合計が 101 になるように組み分けできる。組の数は全部で50。101 が 50 個あるのだから、全部あわせれば 5050だ。」

 このように、この逸話の出所はわからないが、多くのサイトでこの話がとりあげられている。一般的には、1からnまでの和はn(n+1)/2で与えられる。飯田隆もこの証明をとりあげていたが、普通は、数学的帰納法でおこなうものである。別の証明が面白かった。

1+ 2 + 3 +・・・・・+n
n+nー1+nー2+・・・・・+1

対応する上下の項を足すと、すべて(n+1)で、それがn個ある。
この2行の和はn(n+1)であり、1行分の和は半分だから、
n(n+1)/2  となる。